赤ちゃんの月齢別睡眠サイクル – 成長に合わせた睡眠パターンを理解しよう
「赤ちゃんがなかなか寝てくれない」
「夜中に何度も起きる」
「お昼寝の時間がバラバラ」
——こうした睡眠に関する悩みは、新米ママ・パパの多くが経験するものです。
しかし、赤ちゃんの睡眠パターンは月齢によって大きく変化し、
それぞれの時期に特徴があります。
赤ちゃんの睡眠サイクルを理解することで、「今はこういう時期なんだ」と受け止めることができ、
育児の不安も軽減されます。
今回は、新生児期から1歳頃までの月齢別睡眠サイクルについて、詳しくご説明します。

赤ちゃんの睡眠の基本的な特徴
まず、赤ちゃんの睡眠について基本的なことを知っておきましょう。
大人との違い
赤ちゃんの睡眠は、
大人の睡眠とは根本的に異なります。
大人は一度眠ると6〜8時間連続して眠ることができますが、
赤ちゃんは短いサイクルで目を覚まします。
これは異常なことではなく、
赤ちゃんの脳や体の発達段階において、
極めて自然な現象です。
睡眠サイクルの長さ
大人の睡眠周期は約90分ですが、
新生児は約40〜50分と非常に短いのが特徴です。
大人は周期ごとに目覚めることなく、
次の睡眠サイクルに移ることができますが、
赤ちゃんは大人のように続けて眠るサイクルがないため、
睡眠が浅くなった時にちょっとした刺激で目が覚めてしまうことがよくあります。
月齢別睡眠サイクルの変化
新生児期(生後0〜1ヶ月)
総睡眠時間:14〜18時間/日
新生児期の赤ちゃんは、1日のほとんどを眠って過ごします。
しかし、一度に長時間眠ることはできず、2〜4時間おきに目を覚まします。
- 昼夜の区別がない
- 授乳後に眠り、空腹で目覚めるパターンの繰り返し
- 睡眠サイクルが非常に短い(40〜50分)
お昼寝
まとまったお昼寝というよりも、短い睡眠を頻繁に繰り返す時期です。
夜間の睡眠
夜間も2〜3時間おきに目を覚まします。
お腹が空くと何時でも起きるため、夜間の授乳も必要になります。
- 赤ちゃんのリズムに合わせて過ごす
- 昼は適度に明るく、夜は暗く静かな環境を作ることで昼と夜のメリハリをつける
- 安全な睡眠環境を整える
- ママ・パパも赤ちゃんと一緒に休む時間を確保する

安全で快適な睡眠環境の作り方をご紹介しています。 赤ちゃんの健やかな成長には、質の良い睡眠が欠かせません。新生児は1日の約16〜17時間を眠って過ごし、その睡眠時間の中で脳や身体の発達が進んでいきます。しかし、赤…
新生児期は、親にとって最も睡眠不足になりやすい時期です。
「今だけ」と割り切り、周囲のサポートを積極的に活用しましょう。
生後1〜2ヶ月
総睡眠時間:16〜17時間/日
この時期になると、少しずつまとまって眠る時間が増えてきます。
夜間に3〜4時間続けて眠れるようになる赤ちゃんも出てきます。
- 徐々に昼夜の区別がつき始める
- 夜間の睡眠時間が少しずつ長くなる
- 睡眠サイクルが50〜60分に延びる
- 起きている時間が少しずつ長くなる
お昼寝
まだ頻繁にお昼寝をしますが、
新生児期よりは回数が減ってきます。
夜間の睡眠
夜間に3〜5時間程度まとまって眠れる赤ちゃんも出てきます。
ただし、個人差が大きい時期です。
- 日中は明るく、夜は暗めにして昼夜の区別を教え始める
- 夜の授乳は照明を暗めにして、静かな環境を保つ
- 就寝前のルーティンを意識し始める
生後3〜4ヶ月
総睡眠時間:14〜15時間/日
この時期は睡眠パターンが大きく変化する転換期です。
昼夜の区別がはっきりとついてきて、夜にまとまって眠る時間が増えます。
- 昼夜のリズムが確立してくる
- 夜間に6〜8時間続けて眠れるようになる赤ちゃんも
お昼寝
お昼寝の時間が規則的になり始め、
午前と午後、夕方の決まった時間に眠るパターンが見られます。
夜間の睡眠
夜間に5〜8時間程度まとまって眠れるようになります。
夜間授乳の回数も1〜2回に減る赤ちゃんが多くなります。
睡眠退行
生後3〜4ヶ月頃に「睡眠退行」と呼ばれる現象が起こることがあります。
睡眠退行では、それまで比較的よく眠っていた赤ちゃんが、頻繁に目を覚ましたり、夜中に起きたり、
寝つきが悪くなることがあります。
これは、赤ちゃんの脳が急速に発達している証拠で、一時的な現象です。
多くの赤ちゃんに見られますが、自然になくなっていきます。
- 就寝時間と起床時間を一定にする
- 寝る前のルーティンを確立する
(お風呂→授乳→絵本→おやすみなど) - お昼寝の時間も規則的にする
- 夜間は静かで暗い環境を保つ
生後5〜6ヶ月
総睡眠時間:13〜14時間/日
この時期になると昼夜の区別がつき、
夜にまとまった時間眠ってくれるようになる赤ちゃんも多いです。
また、離乳食が始まる時期でもあり、
生活リズムがより規則的になってきます。
- 夜間にまとまった時間眠れるようになる
- お昼寝のパターンが安定する
- 寝返りができるようになり、睡眠中の姿勢が変化する
- 睡眠サイクルがさらに成熟する
お昼寝
午前と午後のお昼寝が定着し、それぞれ1〜2時間程度眠ります。
夜間の睡眠
夜間はまとまって眠れるようになり、夜間授乳が不要になる赤ちゃんも増えてきます。
- 離乳食の時間を含めた1日のスケジュールを整える
- 寝返りができるようになるため、安全な睡眠環境を再確認
- お昼寝の時間を一定にして生活リズムを整える
生後7〜9ヶ月
総睡眠時間:12〜14時間/日
この時期は運動能力が発達し、ハイハイやつかまり立ちができるようになります。
日中の活動量が増えることで、夜の睡眠がさらに安定します。
- 夜間に10〜12時間程度眠る
- お昼寝が2回に減る赤ちゃんが増える
- 分離不安が始まり、夜泣きが増えることも
- 運動能力の発達により、睡眠の質が変化する
お昼寝
午前と午後に1回ずつ、
それぞれ1〜2時間程度のお昼寝をするパターンが定着します。
夜間の睡眠
夜通し眠れるようになる子もいますが、
分離不安により夜泣きが増える場合もあります。
分離不安
生後8〜9ヶ月頃から、ママやパパと離れることへの不安が強くなります。
これは正常な発達過程ですが、夜間の睡眠に影響することがあります。
- 日中に十分な運動や遊びの時間を確保する
- 就寝時間を守り、規則正しい生活を心がける
- 分離不安に対して、日中も愛情をたっぷり注ぐ
- 寝る前にたっぷりスキンシップを取る
- 一貫した就寝ルーティンを守る
- 夜中に目を覚ました時は、優しく安心させる
生後10ヶ月〜1歳
総睡眠時間:10〜14時間/日
1歳に近づくにつれて、睡眠パターンはさらに安定します。
多くの赤ちゃんが夜通し眠り、規則的なお昼寝のリズムが確立します。
- お昼寝が1〜2回になる
- 活動量が増え、疲れて深く眠る
- 睡眠の質が向上する
お昼寝
午前中のお昼寝がなくなり、
午後に1回だけのお昼寝になる赤ちゃんも増えてきます。
夜間の睡眠
ほとんどの赤ちゃんが夜通し眠れるようになり、
夜間の授乳も不要になるケースが多いです。
- 生活リズムを維持し、規則正しい生活を続ける
- お昼寝の時間を調整し、夜の睡眠に影響しないようにする
- 就寝時間が遅くなりすぎないよう注意する
- 自分で眠る力を育てる練習を始める
夜泣きへの対応

夜泣きとは夜中に突然赤ちゃんが目を覚まし、原因がわからないまま泣き続けることを指します。
生後半年〜1歳半までが多いです。
原因は様々ですが、主な理由として以下の3つの理由が考えられます。
1. 環境や体の不快感
赤ちゃんは言葉で不快感を訴えられないため、泣くことで周囲に助けを求めている場合も多いです。
赤ちゃんが泣き止まない時は、以下の点を確認してみて下さい。
- 体調に変化はないか
- お腹が空いていないか
- 快適な睡眠環境が整っているか
- おむつが濡れていないか
2. 昼間の刺激の影響
生後5ヶ月をすぎると、人の動きや表情を認識できるようになるため、
日中に受けたさまざまな刺激が原因で、夜泣きを起こす傾向にあります。
一般的に、人間の脳は睡眠時に、
日中の体験や記憶の整理、定着をしているといわれています。
しかし、赤ちゃんは脳の発達が未熟なため、
昼間の体験や刺激が多すぎる場合、情報の整理が追いつきません。
その結果、興奮状態になり、目が覚めて泣き始めてしまいます。
3. 発達途中の睡眠リズム
赤ちゃんは睡眠リズムが未発達のため眠りが浅く、
大人と比べて睡眠サイクルも短いのが特徴です。
また、大人には規則正しい生活を送るための「体内時計」が備わっていますが、
0歳児はその機能が発達しきっていません。
昼と夜の区別がつかない場合がほとんどで、昼夜問わず寝たり起きたりをくり返します。
中には昼だと思って起きたら夜で、そのギャップに驚いて泣いてしまう赤ちゃんも。
一般的に、赤ちゃんの体内時計は生後4か月~3歳ごろにかけて発達していくといわれています。
成長に合わせてだんだんまとまった睡眠が取れるようになってくるので、
少しずつ夜泣きも減ってくるはずです。
夜泣きへの対処法
赤ちゃんが夜泣きをした際には、以下の対処法がおすすめです。
- すぐに抱き上げず、赤ちゃん自身に眠り直すチャンスを与える
- 入眠ルーティンの確立
- お昼寝の時間を調整
- 不快な原因(オムツが濡れている・お腹が空いている・暑い・寒いなど)を取り除く
- 抱っこや笑顔で安心させる
- 安心できる音を聞かせる
月齢別睡眠の個人差について
ここまで月齢別の一般的な睡眠パターンをご紹介しましたが、
赤ちゃんの睡眠には大きな個人差があることを理解しておくことが重要です。
個人差が生じる要因
体質的な要因
- 睡眠の必要量は個人差がある
- 睡眠の深さも異なる
- 環境への敏感さも様々
環境的な要因
- 家庭環境
- 育児方法
- 兄弟の有無
- 生活リズム
「標準」に縛られすぎない
育児書や他の赤ちゃんと比べて、「うちの子は寝ない」と悩む必要はありません。
大切なのは、赤ちゃんが健康に成長しているか、日中機嫌よく過ごせているかです。
睡眠時間が少なくても、元気に過ごせていれば問題ありません。
逆に、たくさん寝る赤ちゃんも正常です。
ママ・パパの睡眠も大切に

赤ちゃんの睡眠を整えることは重要ですが、
同じくらい大切なのが、
ママ・パパ自身の睡眠と休息です。
睡眠不足への対策
- 赤ちゃんと一緒に寝る
-
家事は後回しにして、赤ちゃんが寝ている時に一緒に休みましょう。
- パートナーと協力する
-
夜間の授乳やおむつ替えを交代制にするなど、協力体制を作りましょう。
- サポートを活用する
-
家族や友人、産後ケアサービスなどのサポートを積極的に利用しましょう。
- 完璧を求めない
-
この時期は睡眠不足が避けられない時期です。
できる範囲で対応し、自分を責めないことが大切です。
まとめ
赤ちゃんの睡眠パターンは、月齢とともに大きく変化します。
新生児期の頻回覚醒から、1歳頃には夜通し眠れるようになるまで、赤ちゃんは着実に成長しています。
大切なのは、それぞれの月齢における睡眠の特徴を理解し、赤ちゃんの個性に合わせた対応をすることです。
「標準」や「理想」に縛られすぎず、目の前の赤ちゃんに寄り添いながら、
一日一日を大切に過ごしていきましょう。
睡眠の悩みは、多くの親が経験する共通の課題です。
一人で抱え込まず、
困った時は遠慮なく専門家に相談してください。
札幌の産後ケアホテルCocokaraでは、
経験豊富な助産師が24時間体制で、赤ちゃんの睡眠を含めた育児全般のサポートを提供しています。
今は夜中に何度も起こされて辛いかもしれませんが、
赤ちゃんの睡眠パターンは確実に成長とともに変化していきます。
焦らず、赤ちゃんのペースに寄り添いながら、この時期を乗り越えていきましょう。
そして困った時は、
いつでも遠慮なく専門家を頼ってくださいね。
